この記事でいう「旅行vlog」
この記事では、旅の写真と短い動画を混ぜ、字幕で流れを伝える旅の記録動画を「旅行vlog」と呼びます。話しながら撮る動画でも、景色だけの動画でも、構成の考え方は同じです。
このサイトの30秒の旅動画は、写真6枚を4秒ずつ見せる形でした。vlogでは、これに動画の場面が加わり、長さも60秒や数分に延びることがあります。素材が増えるぶん、編集アプリを開いてから考え始めると、どこで切るか・何を残すかで手が止まりやすくなります。
そこで、次の2つの時点で構成を決めます。
| 決める時点 | 決めること |
|---|---|
| 撮る前(旅の前) | 長さと画面の向き、撮っておきたい場面のリスト |
| 編集を始める前(旅のあと) | 章の分け方、場面の順番と秒数、写真と動画の割り当て、字幕、音楽 |
撮る前に決めそびれた場合も、編集前の構成だけで十分に作れます。旅から帰ったあとなら、「編集を始める前に決める」から読んでください。
撮る前に決めること
長さ・画面の向き・見せる相手
最初に次の3つを決めます。あとから変えることもできますが、画面の向きは撮り方に関わるので、旅の前に決めておくと素材がそろいやすくなります。
| 決めること | 考え方 |
|---|---|
| 長さ | 30秒・60秒・3分など。長いほど素材と編集の手間が増えます。初めてなら、短めの長さから始めると最後まで仕上げやすくなります |
| 画面の向き | スマートフォンで見てもらうなら縦長(9:16)、パソコンやテレビで見るなら横長(16:9)が合わせやすい向きです |
| 見せる相手 | 一緒に行った人・家族に送るのか、SNSで公開するのか。字幕に書く内容と、音楽の条件の確かめ方が変わります |
YouTube に投稿する場合、YouTube ヘルプ(2026年10月12日時点)では、2024年10月15日以降にアップロードされた、正方形か縦長で、長さが3分以内の動画はショート動画に分類されると説明されています。ショートに分類したくない場合は、16:9のような横長の比率を使うよう案内されています。ほかのサービスに投稿する場合は、そのサービスの最新の案内で長さと比率の扱いを確かめます。
撮っておきたい場面のリスト
旅の前に、撮っておきたい場面を書き出しておきます。写真を選ぶときの5つの役(主役・人物・食事・細部・締め)が、そのままリストに使えます(写真を選びすぎて進まないときの整理方法)。
| 場面 | 写真で撮る | 動画で撮る(数秒) |
|---|---|---|
| 出発・移動 | 駅や空港の看板、切符 | 車窓の景色、歩く足元 |
| 目的地の主役 | いちばんの景色(横長と縦長) | 波・風・人の流れなど、動きのある景色 |
| 人物 | 一緒に行った人(了解を得て) | 歩いている後ろ姿 |
| 食事 | 器全体が入った料理 | 湯気、注ぐところ |
| 細部 | お土産・小物・看板 | ― |
| 締め | 帰り道、最後の朝 | 遠ざかる景色 |
動画の場面は、1つの場面を数秒ずつ撮っておくと、あとで編集しやすくなります。長く撮り続けた動画から使う数秒を探すより、短い動画を何本も撮っておくほうが、選ぶ作業が楽になります。画面の向きは、決めた向き(縦長か横長か)にそろえて撮ります。
旅行のためにカメラを借りるかどうか、写真をどう撮っておくと作品にしやすいかは、旅行でカメラを借りるで説明しています。
編集を始める前に決めること
旅から帰ったら、編集アプリを開く前に、構成表を作ります。ここでは30秒ショート動画 構成シートを広げて使います。
手順1 素材を集めて、撮った順に並べる
- 写真と動画を1つのフォルダーやアルバムに集めます(元のファイルは消しません)。
- 撮った時間の順に並べます。
- 動画は、使えそうな部分の長さ(秒数)をメモします。
手順2 章に分ける
素材を旅の流れでいくつかの章に分けます。章は、旅行記の「表紙・旅の前半・旅の後半・最後の1枚」と同じように考えると決めやすくなります。60秒なら、次のような5つの章が目安です。
| 章 | 内容 | 秒数の例(60秒) |
|---|---|---|
| はじまり | タイトルと、出発・移動 | 15秒 |
| 目的地 | 旅の主役になる景色と人物 | 13秒 |
| 食事と町 | 食べたもの・立ち寄った場所・細部 | 12秒 |
| 夕方から帰り道 | 1日の終わり、翌朝、帰り道 | 17秒 |
| 最後のひとこと | 締めの写真とひとこと | 3秒 |
秒数は例で、旅の内容に合わせて変えてかまいません。いちばん見せたい章に長く時間をとり、ほかの章を短くします。
手順3 写真と動画を割り当てる
章の中で、場面ごとに写真か動画かを決めます。
- 写真にする場面:景色の全体、料理、小物、人物など、止まった状態でじっくり見せたい場面。
- 動画にする場面:波・湯気・電車の窓の外など、動きや音があるからこそ伝わる場面。
- 同じ種類が続きすぎないようにする:写真が何枚も続いたら動画を1本、動画が続いたら写真を1枚挟むと、見ている人が変化に気づきやすくなります。
- 同じ場所の写真と動画を並べない:ほとんど同じ景色が2回続くと、場面が変わったことが伝わりにくくなります。どちらか一方にします。
写真は4秒前後、動画は4〜5秒前後を1つの場面の長さの例にすると、構成シートの時間配分とそろえやすくなります。
手順4 構成シートに書く
構成シートのCSV(short-video-plan_30s.csv)は、「番号」「開始(秒)」「終了(秒)」「長さ(秒)」「種類」「使う写真・動画」「字幕」「動き」「切り替え」「メモ」の10列です。30秒用の8行ですが、表計算ソフトで行を足せば、60秒以上の構成表としても使えます。
- CSVを表計算ソフトで開き、必要な数だけ行を足します。
- 「種類」の列に、タイトル・写真・動画・最後のひとことのどれかを書きます。
- 「開始(秒)」「終了(秒)」「長さ(秒)」を、章の秒数に合わせて書き直します。
- 「使う写真・動画」の列に、ファイル名や番号を書きます。動画は、使う部分(例:「8秒目から4秒」)も書いておきます。
- 「メモ」の列に、章の名前を書いておくと、全体の流れが見やすくなります。
印刷して手書きしたい場合は、short-video-plan_30s.pdf を必要な枚数だけ印刷し、2枚目以降の時間を書き換えて使います。CSVはUTF-8(BOM付き)です。表計算ソフトで文字化けするときは、文字コードに「UTF-8」を指定して読み込みます。セルの先頭が「=」「+」「-」「@」のときは、表計算ソフトが数式として扱うことがあるので、先頭に半角のアポストロフィ(')を付けます。
60秒の構成表の例
上の5つの章で、写真と動画を混ぜた例です。
| 番号 | 時間 | 種類 | 場面 | 章 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 0〜3秒 | タイトル | 主役の景色を背景に、旅のタイトル | はじまり |
| 2 | 3〜7秒 | 写真 | 出発の朝の駅 | はじまり |
| 3 | 7〜11秒 | 動画 | 車窓の景色 | はじまり |
| 4 | 11〜15秒 | 写真 | 到着した駅の看板 | はじまり |
| 5 | 15〜20秒 | 動画 | 目的地の海と波 | 目的地 |
| 6 | 20〜24秒 | 写真 | 旅の主役の景色 | 目的地 |
| 7 | 24〜28秒 | 写真 | 一緒に行った人の後ろ姿 | 目的地 |
| 8 | 28〜32秒 | 動画 | 料理から立つ湯気 | 食事と町 |
| 9 | 32〜36秒 | 写真 | 料理の全体 | 食事と町 |
| 10 | 36〜40秒 | 写真 | お土産・小物 | 食事と町 |
| 11 | 40〜45秒 | 動画 | 夕暮れの海岸 | 夕方から帰り道 |
| 12 | 45〜49秒 | 写真 | 夜の町 | 夕方から帰り道 |
| 13 | 49〜54秒 | 動画 | 翌朝の帰り道 | 夕方から帰り道 |
| 14 | 54〜57秒 | 写真 | 最後に振り返った景色 | 夕方から帰り道 |
| 15 | 57〜60秒 | 最後のひとこと | 締めの写真とひとこと | 最後のひとこと |
この例では、写真が8枚(タイトルの背景と最後の写真を除く)、動画が5本(合計23秒)です。動画は写真の間に1本ずつ挟んで、同じ種類が3つ以上続かないようにしています。
長さを変えるときは
章の分け方はそのままにして、章の中の場面の数で長さを調整します。
| 長さ | 場面の数の目安(写真4秒・動画4〜5秒の場合) | 考え方 |
|---|---|---|
| 30秒 | タイトルと最後を除いて6場面 | 構成シートのまま。動画を入れるなら、写真6枚のうち1〜2枚を動画に替えます |
| 60秒 | タイトルと最後を除いて13場面 | 上の例。章ごとに2〜4場面 |
| 3分 | 章ごとに場面を増やす(計算すると40場面前後) | 場面を増やすより、1つの動画の場面を少し長くするほうが作りやすいことがあります。章のはじめに字幕を入れて、区切りを分かりやすくします |
場面の数は、「動画の長さ − タイトルと最後の秒数」を1つの場面の秒数で割ると見当がつきます。3分(180秒)からタイトルと最後の6秒を引くと174秒で、1場面4秒前後なら40場面前後になります。素材がそれほどない場合は、無理に3分にせず、60秒にまとめてかまいません。
字幕を決める
字幕は、構成表の「字幕」の列に、場面ごとに書きます。
- 1つの場面の字幕は、15〜20文字くらいまでにします(構成シートでの目安)。
- 写っているものの説明より、時間や気持ちを短く添えます。
- 章の最初の場面に、「午後、港へ」のように時間や場所の字幕を入れると、章が変わったことが伝わります。
- 動画の場面では、動きを見せたいときは字幕をなくしてもかまいません。
番号1(タイトル):海の見える町へ/一泊二日
番号2〜4(はじまり):いちばん早い電車で/窓の外に、海/着いた
番号5〜7(目的地):午後、港へ/この景色を見に来た/(字幕なし)
番号11〜14(夕方から帰り道):日が沈むまで/夜の港/翌朝、駅まで歩く/また来たい場所
番号15(最後のひとこと):また、この港まで。
構成シートの subtitles_30s.txt と subtitles_30s.srt は30秒用です。SRT形式の字幕を読み込める編集アプリなら、番号と時間の行を書き足して長い動画にも使える場合がありますが、読み込めるかどうかはアプリによって違い、このサイトでは確認していません。言葉の選び方は短い旅の文章を書く方法、字幕の下書きを外部のAIサービスで考えたいときは文章づくりのプロンプトも使えます。
音を決める
音は、次の3つから選びます。構成表の「メモ」の列か、表の外に方針を書いておきます。
| 方針 | 考え方 |
|---|---|
| 音楽を付ける | 曲の長さと、場面の切り替えを合わせやすい。利用条件を確かめる必要がある |
| 撮ったときの音を使う | 波・風・町の音で、その場の様子が伝わる。ほかの人の話し声や、お店で流れていた音楽が入っていないかを確かめる |
| 音なし | 字幕と写真の順番で流れを伝える。条件を確かめる手間がない |
YouTube ショートで音楽を付ける場合、YouTube ヘルプ(2026年10月12日時点)では、ショート用のオーディオ ライブラリの音楽は、最長3分のショート動画でほとんどが最長90秒まで使え、一部は60秒または30秒に制限されている場合がある、と説明されています。3分のvlogに音楽を付けるなら、音楽が途中で終わる場合も考えて構成します。YouTube のオーディオ ライブラリにあるロイヤリティフリーの音楽を使う方法も案内されています。
ほかのSNSや動画サービス、編集アプリの中で選べる音楽にも、それぞれ利用条件があります。購入した曲や聞き放題で聞いている曲を動画に付けて共有してよいとは限りません。確かめ方は、旅の動画を共有する前の音楽・写真・個人情報チェックで説明しています。
構成表ができたら、編集アプリへ
構成表ができたら、その順番と秒数どおりに、編集アプリで写真と動画を並べ、字幕を入れます。アプリの操作は、使うアプリの公式の案内を見てください(このサイトでは各アプリの操作は確認していません)。
- 縦長の画面に横長の写真や動画を入れるときは、中央を切り抜いて画面いっぱいに見せるか、余白をつけて全体を見せるかを選びます。考え方は30秒の旅動画と同じです。
- 写真の場面に「ゆっくり拡大」などの動きを付けると、動画の場面との差が小さくなり、つながりが自然になります。
- 書き出したら、最初から最後まで見て、長さ・字幕の読みやすさ・仮の文字が残っていないかを確かめます。
編集アプリの使い方をしっかり身につけたい場合は、アプリの公式の使い方の案内や書籍のほか、オンラインの動画編集講座で学ぶ方法もあります。内容・期間・費用は講座ごとに違うので、申し込む前にそれぞれの公式の案内で確かめてください。
よくある失敗と対処
- 編集アプリで素材を並べ始めて、終わらない → いったん手を止め、章と秒数だけを先に決めます。表の上で決めてから並べると、迷う場面が減ります。
- 長くなりすぎた → 章の数は減らさずに、各章の場面を1つずつ減らします。似た場面が2つある章から減らします。
- 動画の場面が長く、間延びする → 1つの動画の場面を4〜5秒前後に切り、いちばん動きのある部分だけを残します。
- 縦長と横長の素材が混ざって、画面がちぐはぐになる → 動画全体の向きを決め、合わない素材は切り抜くか、余白をつけてそろえます。次の旅では、決めた向きで撮ります。
- 音楽の使える秒数が、動画の長さより短かった → 音楽を短い区間だけに付けるか、別の音楽に替えるか、撮ったときの音や音なしにします。
- 字幕を読み切る前に場面が変わる → 15〜20文字くらいまでに短くするか、その場面の秒数を延ばして、別の場面を短くします。
費用のこと
構成シートは無料です。動画編集アプリには、無料で使えるものと、有料の機能やプランがあるものがあります。音楽を付ける場合は、音源によって購入や利用料が必要なことがあります。オンラインの講座や書籍で編集を学ぶ場合は、その費用も別にかかります。どれも、使う前にそれぞれの公式の案内で確認してください。
